車の情報誌「ニューモデルマガジンX」編集長監修
軽自動車の中でも人気があるのは全高が1,750mm以上あるスーパーハイトワゴンだ。背が高くて広い室内を有しているだけでなく、スライドドアを装備することで使い勝手が優れている点でも選ばれているようだ。
2023年末にフルモデルチェンジしたスズキのスーパーハイトワゴン、スペーシアは2024年5月に単月ではあるが、それまでこのクラスの販売でトップを独走していたホンダN-BOXの牙城を崩した(スペーシアが1万5,160台、N-BOXが1万4,582台)。
2024年4月~9月の通称名別新車販売ランキングを見ると、10万2,226台を販売したN-BOXが1位を死守した。しかし、この台数は前年比で101.8%とほぼ横ばい。これに対して8万179台を販売した2位のスペーシアは、前年比で140.1%と大幅な伸びを記録した(全軽自協調べ)。
そのスペーシアにアウトドア系モデルのギアが加わった。従来、軽自動車は「ちょいワル」と呼ばれるカスタム系のイカツいデザインが主流だったが、2018年12月に登場した初代スペーシアギアがキッカケとなり、カスタム系とは異なるアウトドア感やアクティブギア感を強調したジャンルが生まれた。三菱eKクロスやダイハツ・タントファンクロス、最近ではホンダN-BOXジョイなど、各社から同系列のモデルが登場。コロナ禍でのアウトドアブームの影響もあって、急速に注目度が上がっている。ちなみに初代スペーシアギアは、月間販売目標台数の2,000台を常にキープするほどの人気モデルだった。
では、2024年9月20日に発表された2代目スペーシアギアはどんなモデルに仕上がっているのか、見ていこう。スズキによれば、新型スペーシアギアのデザインは日常の行動範囲の中でも、もっと気軽に、もっと思い切りアウトドア気分を楽しんでほしいとの想いを込めて「10マイルアドベンチャー」をコンセプトとし、エクステリアはスペーシアギアらしい際立つアクティブ感を、インテリアはアウトドアギアのような道具感をそれぞれ表現したという。
ボディサイズは全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,800mm。車両重量は900~910kg(4WDは950~960kg)で、軽スーパーハイトワゴンの中では標準的な重さと言えよう。
搭載される660cc直列3気筒DOHCエンジンはNAとターボの2本立て。NAのR06D型は49ps/5.9kg-mを発生。このエンジンに2.6ps/4.1kg-mのWA04C型モーターが組み合わされてマイルド・ハイブリッドに仕上がっている。インタークーラー付きターボのR06A型は64ps/10.0kg-mを発生。こちらは3.1ps/5.1kg-mを発生するWA05A型モーターが組み合されたマイルド・ハイブリッド仕様となっている。
グレードはNA仕様のHYBRID XZと、ターボ仕様のHYBRID XZターボの2種類でラインナップはシンプル。それぞれのグレードにFFと4WDが設定されている。トランスミッションは全車CVT。
安全面ではスペーシア、スペーシアカスタムと同等の予防安全技術であるスズキ・セーフティ・サポートを搭載。デュアルセンサーブレーキサポートII、発進お知らせ機能、標識認識機能、へッドアップ・ディスプレイ、アダプティブ・クルーズコントロール、車線維持支援機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、誤発進抑制機能、後方誤発進抑制機能、低速時ブレーキサポート(前進・後退)、ハイビームアシスト等で運転を支援。軽自動車とはいえ、安全装備はしっかりと充実している。もちろん、これらの搭載によって価格が以前の軽自動車より高額であることは仕方ないが、安全と安心が手に入ることを考えれば十分に納得できるはずだ。
エクステリアをチェックすると、同社のジムニーやハスラーと共通イメージの丸目ヘッドライトを初代から継承しつつ、時流に合わせてLED化。フロントグリルはメッキ調の縦ブロックで、前後バンパー下部にスキッドプレートを採用することでSUV感が強まっている。
インテリアではシート表皮に撥水加工が施され、アクティブな印象をもたらすパターンが織り込まれている。
また、エクステリア・インテリアともにオレンジのアクセントが随所に配され、遊びゴコロが感じられるデザインに仕上がっている。
運転席に座ってみると、ベース車の現行スペーシア同様、細くなったフロントピラーのおかげで横方向の視界は良好だ。ただし、ピラーの角度が直立しているため、直上の信号機はちょっと見えにくいこともある。左フロントピラーにあったサイドアンダーミラーは左ドアミラー下に移動。また、ヘッドアップ・ディスプレイが装備されているので視線の移動量は少ない。
後席のマルチユースフラップは便利かつ快適だ。
ラゲッジスペースの実測値は開口幅が100cm、荷室床面幅が88cm。開口部の地上高は50cmと低く、後席収納時の床面を4cm低床化したことでさらにフラットになり、先代よりも自転車などが積みやすくなった。荷室長は31~52cm(その時の後席ヒザまわりは46~25cm)、後席収納時は126cmで、やや短めだ。
試乗したのはFFのHYBRID XZターボ。ターボに加えてモーターアシストも あり、車重が910kgとあって一般走行で大きな不満はない。初代のISG(モーター機能付き発電機)を用いたマイルド・ハイブリッドはモーターアシストのON/OFF切り替わり時に起こる振動が気になったが、制御面での違和感はかなり少なくなった。
乗り心地は先代より明らかに不快な横揺れが抑えられている。それでも縦揺れと突き上げは大きく、高速道路ではその揺れが増幅されて突き上げも強くなるように感じた。
ステアリングは片側2回転とスロー気味。コーナーでは早めにロールが始まるが、そこで安定するので怖さはあまり感じない。一方で発進時はアクセルが飛び出し気味、減速時は途中で回生減速が切れてブレーキが抜けた感じになるのでコントロールしづらいと感じた。
アダプティブ・クルーズコントロールの加減速制御には嫌味がなく、車線維持支援は白線検知によってコーナー進入手前で自動的に減速してくれる。ただ、横風の影響を受けると1km/hほど微減速するので頻繁に前後Gが揺らぐ。それでも、これらの装備が高速道路での巡航時にドライバーの負担を軽減してくれることは間違いないだろう。
一般道45%、高速道55%でトータル343.1km走行した総合燃費は満タン法で18.7km/L(車載燃費計は19.8km/Lだった)。同じく車載燃費計で市街地燃費だけを見ると19.5km/Lで、WLTCモード燃費値の21.9km/Lに対する達成率は約85%と標準的な数値。燃料タンク容量は27Lなので、一度の満タン給油で約505km走れる計算だ。
試乗を通して、スペーシアギアは実用性と使い勝手はもちろん、動力性能の高さも兼ね備えたオススメのスーパーハイトワゴンに感じられた。HYBRID XZターボ2WDの価格は203万7,200円(4WDは約12万円高の215万7,100円)。6年前に登場した先代モデルとはコストも装備も変わっているので直接の比較は対等ではないが、あえて比較すると初代HYBRID XZターボ2WDは169万5,600円だったので、34万1,600円も高くなっている。しかし、現在の物価上昇を考慮すると、わずか34万円アップにとどまっていると考えてもいいかもしれない。また、スペーシアカスタムHYBRID XSターボ2WDが207万3,500円であることを考えると、スペーシアギアは意外とお買い得と言えそうだ。
しんりょうみつぐ 1959年3月20日生まれ。関西大学社会学部マスコミ(現メディア)専攻卒業後、自動車業界誌やJAF等を経て、「ニューモデルマガジンX」月刊化創刊メンバー。35年目に入った。5年目から編集長。その後2度更迭され2度編集長に復帰、現在に至る。自動車業界ウォッチャーとして42年だが、本人は「少々長くやり過ぎたかも」と自嘲気味だ。徹底した現場主義で、自動車行政はもとより自動車開発、生産から販売まで守備範囲は広い。最近は業際感覚で先進技術を取材。マガジンX(ムックハウス)を2011年にMBOした。
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