車の情報誌「ニューモデルマガジンX」編集長監修
ランドクルーザーと言えば、トヨタが世界に誇るヘビーデューティ4WDの代名詞的なクルマだ。「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」として信頼性・耐久性・悪路走破性に重点が置かれ、約170の国と地域で人々の生活を支えるクルマとして愛され続けている。
ヘビーデューティな4WDは第二次世界大戦中の軍用車として、オフロード走行向けに設計されたクロスカントリー車から発祥した。確かに走破性や堅牢さには優れているが、時代の変化とともにクルマに快適性や豊かさが求められるようになると、生活エリアによっては高い走破性よりも使いやすさが重視されるようになっていった。
そこで、ランドクルーザーも快適さを重視したステーションワゴン的なモデルと、悪路走行および快適性を両立させたライトデューティ的なモデルが派生。70シリーズがヘビーデューティ系で、300シリーズがステーションワゴン的なモデルに相当する。そして、従来プラドを名乗っていたのがライトデューティモデルという位置づけだ。ただ、近年のプラドは高級・豪華路線に寄っていたため、原点回帰して役割を明確化させるために投入されたのがランドクルーザークル250だ。
2021年8月に発売されたランドクルーザー300と比べると、250は無駄を削ぎ落としたような引き締まった外観に仕上がっている。ラダーフレーム式のGA-Fプラットフォームは共通のため、全長は先代プラドから100mmも長くなり、サイズだけを見ればさらにランドクルーザー300に近寄ったような印象だ。ボディサイズは全長4,925mm×全幅1,980mm×全高1,935mm。
伝統のラダーフレームを採用してはいるが、必要な部位に必要な材質を用い、板厚を適用する非線形テーラードウェルドブランクを採用。また、超ハイテンションスチール材を適材適所に使用して高剛性と軽量化を達成し、オフロード・オンロードでの走行性能と安全性能を向上させている。先代プラドと比較すると、車体(ボディ+フレーム)のねじり剛性は30%向上している。また、アッパーボディのスポット溶接点数を160点増やし、板金合わせ部に接着剤を15.3m長く塗布することで剛性向上を果たしている。
サスペンションはフロントがハイマウント・ダブルウィッシュボーン式、リガトレーリングリンク車軸式で、どちらも新たに開発されたものだ。優れたアーティキュレーションを確保し、オフロード走破性を大幅に向上させている。
オフロード性能を支えるマルチテレインセレクトはランドクルーザー300と同性能のものが与えられ、スイッチひとつでフロントスタビライザーのロック/フリーを切り替えられるSDMをランドクルーザーとして初採用。同時に電動パワーステアリングを採用するなど、乗用車的な快適性も高められている。
エクステリアは修復の行いやすさや環境問題に対応。例えば、フロントバンパーは破損しやすい角の部分のみを交換できる部品構成としている。また、高い互換性のあるランプを採用。ヘッドランプはLED 3眼プロジェクター式/LED 3灯リフレクター式/LED 1眼Biビーム式+丸形デイライトが設定されており、これらは購入後に交換できる構造を持っている。そのため、万が一の破損時や、数年後に気分を変えたい時に違うタイプに変えることができる。これまで多くの車種では上級グレードのヘッドランプを後から装着すことは簡単そうで構造的に難しかったので、こういったユーザー目線の配慮は嬉しい。
パワートレインには163ps/25.1kg-mを発生する2TR-FE型2.7L直列4気筒DOHCエンジンと、204ps/51.0kg-mを発生する1GD-FTV型2.8L直列4気筒DOHCディーゼルターボエンジンの2種類を用意。組み合わされるトランスミッションは新開発のダイレクトシフト8ATだ。参考までに、北米や中国向けにはシステム最高出力330ps/62.2kg-mの2.4Lガソリンターボ+ハイブリッド+ダイレクトシフト8ATといった組み合わせも設定されている。
グレード展開はディーゼル仕様がZX/VX/GXの3種類だが、ガソリン仕様は中核のVXのみ。ZXとVXは3列シート7人乗り、GXは2列シート5人乗りだ。
試乗した最上級グレードのZX(ディーゼルターボ仕様)だ。運転席に座ってみると、先代プラドの乗用車らしいダッシュボードから水平基調のインパネに変更されたことでクロカンらしさが強まっている。直立したAピラーや先代より約30mm低くなったベルトラインのおかげで、視界は横方向に広がり感があって良好だ。デジタルルームミラーは助かる装備だが、位置が低くて運転中に視界の妨げになることもあった。
12.3インチHDディスプレイオーディオPlusは、画面手前のエアコン吹出し口が飛び出しているおかげでパームレスト代わりに手を載せることができ、安定して画面を操作できる。
物理スイッチも多く、機能ごとにプッシュ式とトグル式を分けているのも使いやすい。ワイヤレス充電のほか、USB-Cポートは接続用1個/充電用2個とHDMI端子も用意されており、なかなか充実している。
シートは程良いサイズとクッション性を持っている。3列目も普通に座れる点が評価できる。先代プラドより全長が100mm延長されたことで2~3列目シートの居住性と荷室容量が大きく拡大。
荷室の床面幅は110cm(最大値138cm)、床面長は105~168cm(3列目シート使用時は25cm)で、かなり広い。ただし、ラゲッジ開口部の地上高は86cm(リアバンパーで72cm)なので、荷物の積み降ろしが大変との印象を受けた。
エンジンをかけてみよう。ディーゼルターボなので始動時の振動やガラガラといったエンジン音はやや大きめ。アイドリングストップがないなので信号待ちで音と振動は気になるが、これも慣れのうちだろう。ステアリングはクロカンSUVらしくスロー気味で、コーナリングでたまにステアリングを戻すのが忙しい時がある。ラダーフレーム特有のユサユサ感やブルブル振動はかなり抑えられている印象で、モノコックボディと言われても分からないレベルの乗り心地を実現。高速道路では時折ドシンという突き上げが強めに出るが、いたって安定しており、とくに電動パワーステアリングの採用で直進安定性はランクル300以上に優れていると感じられた。そのおかげでADASのレーンキープ機能の制御も非常に滑らかだ。
一般道45%、高速道55%でトータル327.1km走行した総合燃費は満タン法で13.2km/L。車載燃費計は13.3km/Lで、ほぼ誤差はなかった。同じく車載燃費計で市街地燃費だけを見ると11.9km/Lだった。WLTCモード燃費値11.0・/Lに対する達成率は120%と非常に優れた数値をマーク。燃料タンク容量は80Lなので、一度の給油で約1056km走れる計算だ。
ランドクルーザー250はシリーズの中でも最も完成度が高く、世界中のクロカンSUVと比較してもトップを争う出来のように感じられた。ライトデューティモデルとして、悪路走行性能と快適性が高次元で両立している仕上がりだ。ちなみに、試乗したモデルのベース価格は735万円だが、試乗車はオプションでタイヤが265/65R18にインチダウンし、ルーフレールレスだった。レスオプションを選んで賢く価格を抑えるという購入方法も嬉しい選択肢の一つと言えそうだ。
しんりょうみつぐ 1959年3月20日生まれ。関西大学社会学部マスコミ(現メディア)専攻卒業後、自動車業界誌やJAF等を経て、「ニューモデルマガジンX」月刊化創刊メンバー。35年目に入った。5年目から編集長。その後2度更迭され2度編集長に復帰、現在に至る。自動車業界ウォッチャーとして42年だが、本人は「少々長くやり過ぎたかも」と自嘲気味だ。徹底した現場主義で、自動車行政はもとより自動車開発、生産から販売まで守備範囲は広い。最近は業際感覚で先進技術を取材。マガジンX(ムックハウス)を2011年にMBOした。
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