車の情報誌「ニューモデルマガジンX」編集長監修
コンパクト2BOXのマツダ2は同社のエントリーカーである。最も安いベースグレードの価格は150万円台で、場合によっては軽自動車よりも安い設定となっており、居住性や安全性の面から、お買い得感たっぷりのクルマと言えるだろう。
マツダ2が登場したのは2019年9月。それまでデミオと呼ばれていたクルマが、マイナーチェンジに伴って改名したものだ。つまり、2014年より販売されていた4代目デミオが、途中からマツダ2になったというワケだ。マツダ2という名称はすでに海外で使用されていたものである。
他のマツダ車同様、マツダ2も毎年のように改良が加えられて現在に至っている。ボディ形状は5ドアハッチバックのみで、エンジンはガソリンNAとディーゼルターボの2種類を用意。さらにガソリンエンジンではハイオク仕様のパワーアップ版も設定している。
通常版のレギュラーガソリン仕様、P5-VPS型1.5ℓ直列4気筒DOHCエンジンは圧縮比14:1と高圧縮で、110ps/14.5kg-mを発生。モータースポーツを楽しめるハイオクガソリン仕様エンジンは同じ圧縮比ながら116ps/15.2kg-mを発生する。
ディーゼルエンジンのS5-DPTS型1.5ℓ直列4気筒DOHC直噴ターボエンジンは圧縮比14.8:1でディーゼルとしては低圧縮。105ps/25.5kg-mを発生する。ディーゼル仕様の最軽量モデルは車重が1140kgと軽量なので、2.5ℓガソリンエンジン並みの大トルクは十分すぎるほど太い。
グレードは、ガソリン仕様が15C、15BD、15SPORT、そしてハイオクエンジン仕様の15MBの4種類を設定。ディーゼル仕様はXD、XD BD、XD SPORT+の3種類を設定。ガソリン仕様の15MBの駆動方式はFFのみだが、他のグレードはすべてFFと4WDが用意されている。両エンジンに組み合わされるトランスミッションは基本的に6速ATだが、FFの15SPORTとXD SPORTには6速MTも用意。15MBに限っては6速MTのみの設定だ。
BDグレードに関しては、外装のフロントグリル、ホイール、ルーフなどさまざまなパーツで多彩なバリエーションを選べる。BDのラジエターグリルを眺めると、まるでBEVのようで、実際、試乗中に街中で「新型のEVですか?」と尋ねられたほどだ。
また、インパネのガーニッシュに3種類のカラーコーディネーションを用意するなど、自分だけの1台が作れる。
各社が生産性の効率アップをめざしてバリエーション展開を絞り込んでいる昨今、ルックスや機能装備が少しずつ異なるグレードが何種類も揃っているクルマはイマドキ珍しい。装備表とにらめっこして各グレードの違いや差額を計算していると、ついつい〝迷子〞になってしまいそうなほどだ。
4WDシステムも、コンパクトカーとは思えないほど高性能なものが用意されている。i-ACTIV AWDと呼ばれるこの4WDシステムはタイヤの動きや路面状況などをリアルタイムにモニターし、スリップ予兆を検知すると即座にトルクを配分する。たとえば、前輪がアイスバーンに乗った登り坂での発進では、前輪がスリップする前に後輪へトルクを配分し、優れた発進性能を実現。雨や雪などの滑りやすい路面ではもちろん、ドライ路面においても4輪の接地状態に応じて最適なトルク配分とすることで、常にタイヤのグリップ力に余裕を持たせ、スムーズで安定した走りを提供。また、各部のフリクション軽減やユニットの小型軽量化により、FFに対して大きく燃費を低下させないように配慮している点も見逃せない。
ドライバーのハンドル操作に応じてスムーズで効率的な車両挙動を実現するGベクタリングコントロールプラス(GVC Plus)を導入している点も特筆だ。これにより、以下3つの効果が得られるという。(1)ハンドルの修正操舵が低減され、ドライバーが思った通りに走れる。(2)乗員の身体の揺れを低減し、同乗者の疲労の蓄積を抑制して快適なドライブを楽しめる。(3)高速走行、悪路、雪道等での安定性の向上により、安定したクルマの動きによって安心感が高まる。
セーフティ面では4輪ABSや前席SRSエアバッグ、DSC横滑り防止機構&トラクションコントロール、AT誤発進抑制装置、ブラインドスポットモニター、車線逸脱警報システム、リアパーキングセンターなど多くの機能を全車に標準装備。レーダークルーズコントロールや360°ビューモニター&フロントパーキングセンサーをグレードによって標準装備またはオプション設定している。
ミニバンや大きいクルマと比較すれば車内はタイトだが、それでも窮屈感は少ない。 XD SPORT+の運転席はパワーシートとなっており、ワンクラス上の車格が味わえる。また、デミオ時代には後席の操作音がとても軽くて安っぽく感じたと記憶しているが、これも改善してしっかりしたものになっている。陳腐な言い方だが、各部が年々煮詰められ、正常進化している印象がある。
コンパクトカーのため、ラゲッジスペースは決して広いとは言えないが、それでも荷物の積み下ろしがしやすいワイドなリアゲート開口幅と、定員乗車時でも280ℓ(VDA方式)の荷室容量を確保。さらに、後席6:4分割可倒式シートバックを活用すれば、より大きなラゲッジスペースを確保することも可能だ。
試乗したのはガソリンエンジンの15BD FFの6速AT仕様。走り出してみると、低回転域では少々力不足を感じるが、2000rpm付近から元気になり、気持ちよく走れる。コンパクトカーながら安定感は高く、乗り心地も含めてワンクラス上の印象がある。操舵に対するクルマの動きも素直だ。車内騒音は少々耳につくこともあるが、不快に思うレベルではなく、ベーシックカーということを抜きにしても、全体的に大きな不満がない。これなら普段使いの相棒としてピッタリの印象を受けた。
参考までに、1名乗車、一般路走行、エアコン温度24度設定で146kmほど走行した燃費は満タン法で17.5km/ℓだった。これはWLTCモード燃費値20.3km/ℓの約86%と標準的な数値。参考までに車載の燃費計は16.1km/ℓを表示していた。燃料タンク容量は48ℓなので、満タン法の計測値から計算すれば、一度の満タン給油で840kmほど走れる計算だ。
デミオの時代から数えれば、発売から約10年が経過しているマツダ2だが、毎年改良されていることもあって、クルマとしてはとても熟成されている感がある。いま乗っても全体的にバランスよく不満のない作りで、長く乗れるだろう。最新のクルマと比べれば細部は少々古く思える部分もあるかもしれないが、それでもスマホを連携させられるコネクト対応の8.8インチ画面が採用されるなど、商品力の維持に力が注がれている。そういった意味でも、マツダ2はコストパフォーマンスに優れたクルマということができそうだ。
しんりょうみつぐ 1959年3月20日生まれ。関西大学社会学部マスコミ(現メディア)専攻卒業後、自動車業界誌やJAF等を経て、「ニューモデルマガジンX」月刊化創刊メンバー。35年目に入った。5年目から編集長。その後2度更迭され2度編集長に復帰、現在に至る。自動車業界ウォッチャーとして42年だが、本人は「少々長くやり過ぎたかも」と自嘲気味だ。徹底した現場主義で、自動車行政はもとより自動車開発、生産から販売まで守備範囲は広い。最近は業際感覚で先進技術を取材。マガジンX(ムックハウス)を2011年にMBOした。
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