車の情報誌「ニューモデルマガジンX」編集長監修
初代のプリウスが登場したのは1997年末。エンジンとモーターを組み合わせた画期的な駆動システムとして登場したHEVのプリウスは、世間の環境意識が高まるに連れて人気が高まり、一時期は量産車の販売台数トップに躍り出るほどの人気車となったのはご存じのとおりだ。
5代目が登場したのは2023年1月。ユーザーにとってかけがえのない1台となる「愛車」をめざして開発された。その商品コンセプトは『ひと目惚れするデザイン』と『虜にさせる走り』だという。確かに新型プリウスのデザインは大胆で、いままでプリウスに興味なかったけれど、新型にはひと目惚れしたという人もいることだろう。 低くワイドなボディは無駄なラインを廃した塊感あるスポーティなもので、スペシャリティカー的な印象が強い。
しかし、実際の全高は1,430mmと大幅に低いわけでもなく、先代プリウスより40mm、アクアより25mm、カローラスポーツより30mm低い程度。スポーツカーと比べると、スープラより135mm、ロードスターより195mmも高い。
なのに全高が低く見えるのは、「よくこれだけのデザインを採用できたものだ」と感心させられるくらい大きく前傾したフロントウインドウと、ドアの上下幅に対してサイドウインドウの上下幅が狭いこと。さらに、特殊サイズの大径タイヤをグルッと囲むように大型のフェンダーアーチモールを装着することで、とても低いような印象を演出している。
リアドアのハンドル位置をドアパネルではなくサイドウインドウ後端部にするとともに、斜め前から見ると張り出し気味にデザインされたリアフェンダーによってリアドア後部の開口ラインが見えにくく、一見3ドアクーペ風に見えることもスポーティな印象を放っているポイントだろう。
走りに関しては、改良版GA-Cプラットフォームとプリウス初の2.0Lエンジンが用いられていることが特徴だ。152ps/19.2kg-mを発生する2L直列4気筒DOHCエンジンを搭載。これに113ps/21.0kg-mを発生するモーターを組み合わせたハイブリッド機構のシステム出力は196ps。4WDのE-Fourではリアに41ps/8.6kg-mを発生するモーターも搭載。こちらのシステム最高出力は199psだ。
2.0LFFモデルにはプラグインハイブリッド仕様も設定されている。エンジンの最高出力は151psとわずかにハイブリッド仕様より低いが、逆にモーター出力は163ps/21.2kg-mで、50ps/0.2kg-m上がっている。大型のリチウムイオンバッテリーを搭載することで、バッテリーによるEV走行は87kmを記録している(カタログ記載値)。
また、エントリーモデルとして、旧型と同じ98ps/14.5kg-mを発生する1.8L直列4気筒DOHCエンジンを搭載し、これに95ps/18.9kg-mを発生するモーターを組み合わせたしたハイブリッドモデルも存在する。1.8LモデルにはFFとE-Fourが用意されている。
虜にさせる走りを実現させるため、アクセルペダルを踏んだ時の加速が早く立ち上がるよう、電池を積極的に活用する制御を取り入れている。2.0LHEVシステムはレクサスUXにも導入済みだが、プリウスではより低い回転域からパワーを出せるよう改良。さらに、コーナリング時にロールとピッチを同時に作り出して運転が上手くなったように感じさせる制御も組み込まれている。
改良されたプラットフォームは、静粛性向上にも効いている。先代の課題として残ってしまったロードノイズを改善するため、侵入経路を断つことに注力。併せてサスペンション・メンバーも変えてボディに音が伝わりにくい構造としている。また、塗布型制振剤も改良して垂直面にも採用することで、あらゆる速度域での静粛性を改善。
クルマに乗り込むと、着座位置はかなり低く感じられる。Aピラーの傾斜角が強いために閉塞感があり、ルーフ高が高いクルマにしか乗ったことがない人は慣れるまでに時間が必要かもしれない。
後席はヘッドクリアランスがミニマムで、やはり閉所感がある。身長が低い人や子供用、あるいはエマージェンシー用と割り切って使うのが良さそうだ。
ステアリングホイールはかなり小径。おそらく、小さくしないとシートポジションによってはインパネセンターからドライバー前方に移されたメーターが隠れるのだろう。
ただ、低いシートポジションも含めてスポーツカー的と言えなくもない。こういったデザインに憧れていたのであれば、ピッタリのクルマと言えるかもしれない。惜しいのは内装スイッチ類の質感の低さ、ラゲッジ床下の収納スペースが白い発泡スチロールで安っぽいこと、そして300万円を超えるクルマなのにトノカバーが標準装備品目から省かれたことだ。
走りをチェックしてみよう。試乗したのは2.0LFFのHEV仕様。走り出すと、しっかりとしたボディと大径サイズタイヤの効果で、いままで感じたことのないスムーズな乗り味を体感。荒れた路面では多少バタつくこともあるが、許容範囲にある。もう少し足がしなやかでもいいかな?とも思えるが、ハンドリングを含めて気持ちよく走れる仕上がりだ。静粛性に関しても不満はない。後輪にもモーターが設置されたE-Fourにも乗ってみたが、乗り心地は心なしかFFよりもマイルドに感じられた。これは60kg重い車重が良い影響を及ぼしているのかもしれない。
気温が10度を下回るコンディションの中、420km走った総合燃費は満タン法で20.2km/Lだった。カタログに記載されているWLTCモード測定値(28.6km/L)に対する達成率は約7割。参考までに内訳を記載しておくと、市街地は20.8km/L、郊外路は21.9km/L、高速道路は17.2km/Lだった。
外観はもちろん、走りも含めてスペシャリティカー的なクルマに生まれ変わったので若い世代だけでなく、子育てが終わって大きな室内のミニバンが不要になったポストファミリーが乗り換えるにもピッタリのクルマになっている。低めのルーフ高と狭い後席は慣れてしまえば、それほど気にならないだろう。ただし、全高が低めのクルマは年を取ると乗り降りがしにくくなる傾向にあるので、高齢者を乗せる機会が多い人は試乗してみよう。もし難を感じたなら、残念だが選択を見送るほうが賢明かもしれない。
しんりょうみつぐ 1959年3月20日生まれ。関西大学社会学部マスコミ(現メディア)専攻卒業後、自動車業界誌やJAF等を経て、「ニューモデルマガジンX」月刊化創刊メンバー。35年目に入った。5年目から編集長。その後2度更迭され2度編集長に復帰、現在に至る。自動車業界ウォッチャーとして42年だが、本人は「少々長くやり過ぎたかも」と自嘲気味だ。徹底した現場主義で、自動車行政はもとより自動車開発、生産から販売まで守備範囲は広い。最近は業際感覚で先進技術を取材。マガジンX(ムックハウス)を2011年にMBOした。
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