車の情報誌「ニューモデルマガジンX」編集長監修
ホンダ・フリードは、小型ミニバンながら3列シートを採用し、6名あるいは7名乗車可能な点で人気がある。このサイズで3列シートを設定している国産車は、他にはトヨタのシエンタだけだ。初代フリードは2008年から8年間製造されたが、2016年登場の現行2代目も、同じくすでに8年目を迎えるロングセラーモデルだ。
エンジンは全グレードに1.5ℓのハイブリッドとガソリンがあり、それぞれにFF仕様と4WD仕様を設定。トランスミッションはハイブリッドが7速DCT、ガソリンがCVTだ。7名乗車はFF仕様に設定されている。アクティブ仕様の外観が少し異なるクロスターはFF、4WD仕様ともに6名乗車のみ。また、2列シートで5名乗車のフリード+(プラス)も基本的な設定は同じ。さらに全グレードに、より精悍なイメージの特別仕様、BLACK STYLEが用意されている。
ボディサイズは、全長4265mm(フリード+のFFのみ4295mm)×全幅1695mm×全高1710mm(4WDは1735mm)と5ナンバーサイズに収まっている。ボディデザインは、初代から継承された塊感あるシャープなスタイルが特徴だ。シエンタや他のコンパクトサイズのミニバンが柔らかな、どちらかといえばかわいらしさを全面に打ち出しているのとは対照的。
「かわいらしいクルマはちょっとなぁ」と思っている男性でも、こんなデザインであれば抵抗感が少ないはずだ。
インテリアは水平基調のインパネを採用し、全体的にシンプルな造形とすることで5ナンバーサイズながらも開放感をうまく表現。
デフォルトで3列すべてを使用する前提とした設計になっているようで、3列目に大人が座っても十分な居住性、快適性が確保されている点が魅力。この辺りは3列目がエマージェンシーシート的に割りきられているシエンタとの大きな違いといっていいだろう。
その3列目シートは跳ね上げ式のため、そこそこ大きな荷物を積むことができる。
6人乗りの2列目はキャプテンシートを採用していてスライド機構のみのため、最大荷室長は約1350mmで自転車を積み込むのは難しい。
2列シート5人乗りのフリード+の場合は2列目がダブルフォールダウン機構でフルフラットになるため、より広い荷室を実現している。
搭載するエンジンは、ガソリンが129ps/15.6kg-mを発生する1.5ℓ直列4気筒DOHC直噴エンジンのL15B型。ハイブリッドは110ps/13.7kg-mを発生する1.5ℓ直列4気筒DOHCエンジンのLEBに、29.5ps/16.3kg-mを発生するH1型モーターを組み合わせている。全車レギュラーガソリン仕様で、燃料タンク容量はエンジン仕様に関係なくFF仕様が36ℓ、4WD仕様が53ℓだ。ハイブリッドの駆動用バッテリーは、リチウムイオン電池だ。
ハイブリッド車のトランスミッションは、SPORT HYBRID i-DCDと呼ばれる高出力モーターを内蔵した7速のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を採用することで、低燃費と軽快な走りを両立している。ギア比はフリード専用に設定することでミニバンでも伸びやかな加速感を味わうことができるのだ。また、ガソリンエンジンの高効率CVTは、力強い走りと燃費性能を高いレベルでバランスさせるだけでなく、ある一定以上のブレーキ操作を行うと自動でエンジンブレーキを効かせることで、安心感のある減速を実現する、ブレーキ操作ステップダウンシフト制御を搭載。この制御では、カーブなどでの減速時には加速に備えた制御を行うことで、俊敏な走り出しも可能としている。
4WDはリアルタイムAWD〈インテリジェント・コントロール・システム〉を採用。各種センサーで路面や走行状態を検知し、状況に応じて瞬時に4WD走行に切り替える電子制御式で、雪道だけでなく坂道やカーブでも安心感を高める設定となっている。
すべての基本は強い骨格づくりから、という観点の基づき各所に軽量かつ高強度の鋼板を使用するだけでなく、衝突時の衝撃(G)を制御する独自の技術G-CONを採用した衝突安全設計ボディを採用。また、早く、優しく、長く膨らむ運転席&助手席i-SRSエアバッグシステム、1~3列目までワイドにカバーするサイドエアバックシステム+サイドカーテンエアバッグシステム、1列目3点式ロードリミッター付きプリテンショナーELRシートベルトを採用。
衝突安全性能は小型ミニバンでも抜かりない。予防安全性能では、機能が充実した安全運転支援システムであるHonda SENSINGを搭載。街中を走行するときには衝突軽減ブレーキ(CMBS)や路外逸脱抑制機能、標識認識機能、歩行者事故低減ステアリング、先行車発進お知らせ機能が有効に働き、高速道路を走行するときには、アダプティブクルーズコントロール(ACC)や車線維持支援システム(LKAS)が安全運転を支援。さらに駐車時には誤発進抑制機能や後方発進抑制機能がうっかり事故を抑制してくれる。
1.5ℓガソリン仕様はコンパクトながらもFF仕様で1350kgと軽くはないが、普段使いで走っている分には必要にして十分なエンジン性能に感じた。CVTとの組み合わせもスムーズな走りを実現。スポーティに走るには少々気合がいるけれど、1名乗車では意外にキビキビと走れた。走行中、路面からのノイズが室内に結構侵入してくるのが気になった。この部分が改善されれば、快適性はより改善されるに違いない。
ハイブリッド仕様は、現在ホンダで主流のe:HEVではなく先代フィットと同じ旧式のi-DCTのため、ちょっと古臭い印象だ。車重は1400kgとガソリン仕様より50kg重く、4WD仕様は1500kgとさらに重いが、モータートルクが29.5kg-mと3ℓクラスの太さを低回転から発生し、モーターだけで発進できるので走り出しに不満はない。7速DCTなので無駄にエンジン回転を上げずに済むのだが、ローギア側では変速時に若干の振動が出る。2モーター式ではないので、走行中にエンジンが稼働している頻度は高く、ハイブリッド特有の走行フィーリングに期待すると肩すかしを食らうかもしれない。別の言い方をすれば、ガソリン車から乗り替えても違和感がない。
参考までに燃費は、1名乗車、一般路走行、エアコン温度24度設定で普通に走行した状態で168kmほど走行したガソリン仕様の平均燃費は、満タン法で17.3km/ℓだった。これは、WLTCモード燃費値17.0km/ℓの約102%と優れた数値だ。燃料タンク容量は36ℓなので、満タン法の計測値から計算すれば、一度の満タン給油で620mほど走れる計算だ。
ハイブリッド仕様の燃費は、高速道路6割、一般道4割の約311㎞を走行した総合燃費は満タン法で17.4㎞/ℓとなった。この数値はガソリン仕様とほぼ変わらないものだ。WLTCモード燃費値20.9㎞/ℓに対する達成率は83%と標準的な数値。燃料タンク容量は36ℓなので、満タン法の計測値から計算すれば、一度の満タン給油で626mほど走れる計算だ。
テストしたガソリン仕様のフリードG(FF仕様/6人乗り)の価格は約233万円。ハイブリッド仕様のフリードHYBRID G BLACK STYLE FF仕様/6人乗りの価格は約275万円。40万円近い価格差を考えると、割りきってガソリン仕様を選ぶ方が賢いかもしれない。
しんりょうみつぐ 1959年3月20日生まれ。関西大学社会学部マスコミ(現メディア)専攻卒業後、自動車業界誌やJAF等を経て、「ニューモデルマガジンX」月刊化創刊メンバー。35年目に入った。5年目から編集長。その後2度更迭され2度編集長に復帰、現在に至る。自動車業界ウォッチャーとして42年だが、本人は「少々長くやり過ぎたかも」と自嘲気味だ。徹底した現場主義で、自動車行政はもとより自動車開発、生産から販売まで守備範囲は広い。最近は業際感覚で先進技術を取材。マガジンX(ムックハウス)を2011年にMBOした。
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