車の情報誌「ニューモデルマガジンX」編集長監修
日本で一番売れているクルマ、N-BOXが3代目に生まれ変わった。3代目は、自分や家族だけでなく、みんなの幸せのためにしたいことなど、使う人のさまざまな目的に応えることで乗るすべての人にとって幸せな時間を提供できる存在をめざして開発された。
シャシーとボディ骨格は先代から流用されており、軽乗用車最大級の室内空間と高いアイポイントが継承されている。さらに、運転しやすい視界を確保。コックピットではメーターパネルがインパネ上からステアリングホイールの内側から確認するインホイール式に改められ、インパネ上面はフラットに成形されて開放感が確保されている。また、先代で左側フロントピラーに設置されていたサイドアンダーミラーはドアミラーに移設され、ピラーまわりをスッキリさせることで視界向上が図られた。その結果、ドライバーが車幅を確認しやすいメリットも生み出されている。
ウインドウガラスとウエストラインは水平に設計され、視線の乱れを減らすことで乗り物酔いしにくい環境が作り出されている。電動スライドドアには全閉後に施錠される予約ロック機能を新採用。
そのスライドドアはドアハンドルを引いて操作する方式のままだ。ハンドルを引く量は減らされたというが、人間の手の動きを加味すると引く行為よりも押すほうがラクで、ワンタッチボタンがディーラーオプションにとどまっているのが惜しい。
標準車の外観はシンプルで、フロントマスクには丸穴デザインのグリルが起用されて親しみやすさが演出されている。また、リング状に灯るポジションランプは人間の瞳をモチーフにデザインされた。
内装は明るいグレージュをベースに、温かみを感じさせるコルク風のトレイが採用されてリビングルームのような雰囲気に仕上がっている。
ザックリとした手触りのファブリックはステップワゴンなどにも見られ、デザイナーのセンスの良さを感じさせる。
この標準車にはドアミラーとドアハンドルがホワイトに塗装され、専用ボディカラー同色のホイールキャップが備わる「ファッション・スタイル」もラインナップ。
カスタムには立体感のあるラジエターグリル、横一文字に光るポジションランプ、ホンダ初のダイレクト・プロジェクション式LEDヘッドランプ、クリアレンズのリアコンビランプが与えられている。ロー&ワイドに見えるよう、前後バンパーにも専用品を起用。
インテリアはブラック基調で、トレイはストーン調に仕上がっている。さらに、ダーククロームメッキの外装パーツやブラック・アルミホイールが装備され、ツートーンカラーも選べる「コーディネート・スタイル」も用意されている。
パワートレインも先代から流用されていて電動化は見送られた。この点について開発関係者は「N-VANとN-ONEベースのBEVを投入し、軽自動車ラインナップの中で電動化の棲み分けを図っていく」とした上で、純エンジン車のままでもライバル車と比べて十分に競争力はあると判断したようだ。また、BEV開発が決定している中で、いまさらHEVを開発するのはモッタイナイとの判断もあった模様だ。
それでもCVTは制御が見直されてキックダウン時のショックやギクシャク感が改善された。また、アダプティブ・クルーズコントロールは加速がマイルドに設定し直されたため、前走車が検知対象から外れた後に設定速度をめざして急加速するといった動きもない。渋滞の中でも使えるのは便利だが、発進および完全停車する際の滑らかさが向上すれば商品力はいちだんと高まるだろう。
車線維持支援のLKASがアダプティブ・クルーズコントロールと同時にワンタッチで起動できる点も目新しい。高速道路で重宝するが、アールの大きいカーブではステアリングホイールへの入力が大きめで、グイッグイッとステアリングを持っていかれる傾向が気になる。
これまではアイドリングストップした状態からシフトレバーを動かすと瞬時にエンジンが再始動する設定だったため、Pレンジに入れて降りるだけなのに、わざわざエンジンが始動してしまうケースもあった。これはRレンジに入れた時の応答性を高めるための設定だった。しかし今回はエンジンを停止させたままPレンジまでシフトレバーを動かすことが可能になった。「でも、それではRレンジに入れた時の反応が遅れるのでは?」と疑問に思ってしまうが、エンジンが再始動して駆動力が発生するまでの流れをスピードアップさせることで解決している。一連の動作を急ぐとショックが発生しそうだが、うまく抑えられていて快適性は高い。
前述したようにメーターパネルはインホイール式に変更された。シビックなどと同じ7インチ液晶のスッキリしたタイプで、上半分に車速が、下半分には燃費やカレンダーなどが表示されるが、試乗時には車速表示の上端が見切れるのが気になってチルトステアリングと運転席上下アジャスターを調整したものの、バッチリと決まるポジションを見つけることができなかった。シートを最も下げた状態でメーターパネルが見えるよう運転したが、メーターパネルを囲うベゼルの形状とステアリングコラムの角度には再考の余地があるだろう。
ペダルに対してステアリングホイールが遠いことも気になる(シートを前方にスライドさせると、今度はペダルが近すぎて足元が窮屈)。N-WGNにはテレスコピック・ステアリングが採用されているのに、なぜN-BOXには装備されなかったのか。開発関係者に確認したところ、ステアリングホイールの前後位置が変わると側突試験のダミー人形を座らせる位置も変わり、結果的にセンターピラーの位置も見直す必要が生じてボディ骨格が流用できなくなる。そのため、テレスコピック・ステアリングの採用は見送られたが、社内事情によるところが大きい。
新設定されたコネクト技術は使い勝手向上にひと役買っている。スライドドアやドアロックの遠隔操作に加え、乗車前に空調をONにしておくことも可能だ。また、スマホをキーとして使えるので、家族でクルマをシェアできるのも嬉しい。
リアシートは前方にスライドさせても十分なレッグスペースを確保できる。巻き取り式サンシェードに加えて中央アームレストが新設定されたのも朗報だ。一方でライバル車に見られる天井サーキュレーターは設定されず。「エアコン能力が十分で、後席まで空調は行き渡る。また、サーキュレーターを装備すると後席からの見晴らしがスポイルされ、価格上昇にもつながる」と開発関係者は非設定の理由を説明する。
乗り心地に関しては14インチタイヤを履くNAモデルと15インチタイヤ装着のターボ車でショックアブソーバーは異なる。ターボ車のほうが踏ん張り感があり、安心して乗っていられると感じた。ちなみに、そのサスペンションは締結方法が見直され、乗員が乗った時に最適な状態となるよう組み付けられているそうだ(詳しい方法は企業秘密とのこと)。
しんりょうみつぐ 1959年3月20日生まれ。関西大学社会学部マスコミ(現メディア)専攻卒業後、自動車業界誌やJAF等を経て、「ニューモデルマガジンX」月刊化創刊メンバー。35年目に入った。5年目から編集長。その後2度更迭され2度編集長に復帰、現在に至る。自動車業界ウォッチャーとして42年だが、本人は「少々長くやり過ぎたかも」と自嘲気味だ。徹底した現場主義で、自動車行政はもとより自動車開発、生産から販売まで守備範囲は広い。最近は業際感覚で先進技術を取材。マガジンX(ムックハウス)を2011年にMBOした。
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