車の情報誌「ニューモデルマガジンX」編集長監修
2022年に登場した現行ノア/ヴォクシーは4代目にあたる。従来からミニバンや商用バンはトヨタ車体が開発業務を行っていたが、企画はトヨタが担当して開発と生産をトヨタ車体に委託する方式だった。しかし、2018年にバン事業が移管されて開発の主体もトヨタ車体に移った。この体制変更後、初めて開発されたのが4代目ノア/ヴォクシーだ。
今回のモデルでの一番の変更点はプラットフォームだ。2001年にFF方式のノアが誕生して以来ずっとMCプラットフォームが使われてきたが、初めて全面刷新されてプリウスやと同世代のGA-Cプラットフォームに切り替わった。併せてハイブリッド機構も丸ごとリニューアルされた。2モーター式の構造は先代と同じだが、モーター出力は16%、バッテリー出力は15%それぞれ向上。また、バッテリーの種類はニッケル水素からリチウムイオンに変わった。
ノアは、98ps/14.5kg-mを発生する1.8・直列4気筒DOHCエンジンを搭載し、これに95ps/18.9kg-mを発生するモーターを組み合わせたハイブリッド仕様と、170ps/20.6kg-mを発生する2.0L直列4気筒DOHC直噴エンジンを搭載した仕様の2種類のパワーユニットを用意。それぞれにFFと4WDモデル(ハイブリッドはリアにモーターを備えるE-Four)を設定。グレードは上からS-Z、S-G、Z、G、Xの5種類をハイブリッド仕様、ガソリン仕様ともに設定。全グレード7人乗りだが、S-G、G、Xには8人乗りも設定されている。
一方、ヴォクシーもノアと同じ2種類のパワーユニットで、FFと4WDモデルを用意。グレードはS-ZとS-Gの2種類で、ともにハイブリッド仕様とガソリン仕様を設定。ノアよりグレード数を絞った展開となっている。両グレードとも7人乗りだが、S-Gには8人乗りも設定されている。
ハイブリッド仕様に設定された電動4WDシステムのE-Fourは、リアモーターの出力を41ps/8.6kg-mへと高めたものを起用。滑りやすい路面や上り坂等での発進時にリアモーターがアシストするだけでなく、旋回時や加速時の安定感アップにも寄与するよう設計されている。旋回時は後輪のスリップ量に関係なく、ステアリングの舵角が約21度を超えると後輪も駆動力を発揮し、前後トルク配分は最大で30%まで後輪側に移るようになっている。
先代までは5ナンバーサイズのグレードもあったが、4代目では全モデルの全幅が1,730mmに統一されて3ナンバー幅となった。
従来、ノアはおとなしめ、ヴォクシーはギラギラ感を強めている印象だったが、ノアのエアロ系モデルは押しが強くなった。
逆にヴォクシーは大型フロントグリルなど押し出し感は相変わらずだが、多少ギラギラ感が薄れて大人っぽくなった印象を受けるデザインとなった。
両モデルとも実用重視の安っぽさが軽減されて、余裕のある上級感を身に着けたといったところか。
室内は、余裕の広さを実現。1列目と2列目シートのサイズは充分だが、3列目はエマージェンシー的な作りだ。
ラゲッジスペースは3列目使用時でもそこそこのスペースを確保しているが、3列目を跳ね上げるとかなりのスペースが生まれる。
また、3列目を展開したまま床下104Lの大容量スーパーラゲッジボックスが使えて高さのある荷物も積めるのは便利。3列目を跳ね上げ、スライド量745mmの2列目キャプテンシートを前方に追いやれば、さらに広い空間を実現。跳ね上げた3列目シートは、従来のストラップに代わってロック機構で簡単に固定できるよう改善されたため、使い勝手が大幅に高まった。
その他、車両には販売価格が上昇しないよう、知恵を絞ってコストを抑えたアイデアがいくつも盛り込まれている。例えば電動モーターに頼らないサイドステップ。床下から迫り出す地上高200mmのステップには、スライドドアと連結したカラクリ機構のリンクが使われている。約20万円と高価で重量増にもつながっていた従来の電動式と比べ、価格と重さが改善された。
電動スライドドアはブラインドスポット警告のレーダーが活用され、オープン時に後方からクルマや自転車が接近している際に警報が鳴って自動的に停止する機能を新採用。ただし、フロントドアを全開にしても通過車両が接触しないほど自車から外側に離れている時は利便性を考慮して作動しない。
大きく開くハッチゲートにもカラクリ機構が織り込まれ、途中で止めることが可能になった。こちらも構造はシンプルで、一時停止後は巻き取り方向だけに作動するリールによって実現。開くハッチゲートを手で押し止めるとリールがロックし、それ以上は開かない仕組みだ。
市街地中心の試乗では、ガソリン仕様、ハイブリッド仕様ともに静粛性が高まったことを実感できた。とくにハイブリッド仕様は加速の要求値が大きい場面でエンジン回転数が上がって車速がついてこない悪しき傾向が改善された。まさにモーターとバッテリーの出力アップのおかげだろう。EV走行距離も比較的長く、エンジンが始動しても音はほぼ気にならない。ハンドリングも素直で気持ちいい走りが体感できる。ボディがとてもしっかりしている点も印象的だ。走行中に不快な振動や音はなく、乗り心地も快適で、高速直進安定性も良好。その気になればスポーティに走ることもでき、想像以上に思ったように走ってくれる。外観のハデな印象と違って走りや快適性はかなりの優等生ぶりを見せてくれたのだ。
気になるのはシート。一部グレードには合皮とファブリックのコンビ地が使われているが、気温が高い時期に試乗した時、合皮部分の通気性が悪いため、汗ばんだ。見た目は豪華でいいかもしれないが、この組み合わせは再考の余地がありそうだ。
ヴォクシーのハイブリッド仕様で420kmほど走行した平均燃費は満タン法で17.2km/Lだった。これはWLTCモード燃費値23.0km/Lの約75%。参考までに、市街地燃費は17.5km/L、郊外燃費は19.6km/L、高速道路での燃費は14.0km/Lだった。
走り、快適性、使い勝手、燃費など、あらゆる面で進化して性能が向上した新型ノア/ヴォクシー。3列シートで多人数が乗れ、サイズ感もちょうど良いミニバンが欲しい人にはピッタリの1台と言えそうだ。ただ、ハイブリッド仕様の最上級モデルであるS-ZのE-Fourモデルはオプション等を含むと500万円近くに達し、ちょっと考えてしまう。ノアのエントリーモデルであるガソリン仕様のFFモデルは7人乗り、8人乗りともにベース価格267万円から用意されている。ガソリン仕様のコスパも充分に高いので、選ぶ際には仕様やグレードをしっかりとチェックするのがいいだろう。
しんりょうみつぐ 1959年3月20日生まれ。関西大学社会学部マスコミ(現メディア)専攻卒業後、自動車業界誌やJAF等を経て、「ニューモデルマガジンX」月刊化創刊メンバー。35年目に入った。5年目から編集長。その後2度更迭され2度編集長に復帰、現在に至る。自動車業界ウォッチャーとして42年だが、本人は「少々長くやり過ぎたかも」と自嘲気味だ。徹底した現場主義で、自動車行政はもとより自動車開発、生産から販売まで守備範囲は広い。最近は業際感覚で先進技術を取材。マガジンX(ムックハウス)を2011年にMBOした。
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